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【僕の見た秩序。】KEN21事件
=経緯と考察 法的側面編=


まず、今回の一件を法的側面から分析していこうと思います。



今回、ヨシナガ氏がKEN21から指摘された“法律違反”とは、大まかに分けて

・営業妨害
・名誉毀損

の、2点です。
【脅威のペットショップ列伝】の内容は営業に際して著しく支障を来すものであり、自社の権威を滑落させるものである、と、こういう事でした。



まず、ここでこの言葉の定義から説明したいと思います。
何をもって営業妨害・名誉毀損とするのかを明確にしていきます。



法律上での名誉毀損とは、刑法で定義されています。


刑法 第230条の1

(1) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

(2) 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(原文のまま)


これが、名誉毀損に関する罰則規定文です。
噛み砕くと、相手に対しての名誉を傷つけてはならないという事ですね。
これは、名誉毀損とされた内容の真偽を問わず適用される法律です。
今までNet上で“名誉毀損”とされた例は、ニフティ裁判を始め数多くあり、今現在も事件の大小を問わず、多くの問題が発生しています。

(現に、私も以前Net上に勝手に電話番号を掲載された事がありました。)


そして、“名誉毀損”という言葉が一般的に使われ始め、悪い言い方であれば“簡単に名誉毀損を叫ぶ事が出来る”風潮になってきました。
これは、いい事なのか悪い事なのか…。



この名誉毀損罪には、例外が存在します。
これは、先述の項目のすぐ後、刑法第230条の2に定義されています。


刑法 第230条の2

(1)前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

(2)前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

(3)前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。



これが何を意味するか…。

それが公共の利害に関する事実に係るものであること

その目的がもっぱら公益を図るものであること
(個人的恨みを晴らす目的でないこと)

当該事実が真実であること

この条件に当てはまっていれば、名誉毀損罪は適用されないという事です。


これを踏まえて、今回のケースに名誉毀損罪は適用されるかを考察してみましょう。

まず、KEN21側が指摘したテキストとは、KEN21店頭に掲示してあったオブジェです。

そして、ヨシナガ氏はこれをユーモアを交え、テキストとして世に送り出しました。
文面の中で

何かの暗号?
スパイ組織とか?

有り得ない。

等、おちょくった文面があったのは事実です。
KEN21側としては、これらの文面を“名誉毀損”と定義付けたのでしょう。



これらに本当に名誉毀損罪は適用されるのでしょうか。
まず、僕秩。の規模は、いわゆる“大手サイト”と定義してもいいでしょう。
このコラムを読む為に僕秩。にアクセスする、いわゆる“ファン”も多いサイトです。
影響力の大きいサイトの中で、このようにおちょくった文章を出したという事も、ある意味では要因の1つであったと思われます。


しかし、僕秩。は基本的にギャグ要素が主体のサイトです。
サイト全体の流れを見て読むと一目瞭然かとは思うのですが、文面から読み取るに本当に名誉毀損だとは考え辛いです。

まず、問題のテキストは

・多くの人が読み、そして楽しんだ
・文面からして、読む人がKEN21に悪い印象を持つ事は考え辛い
・ヨシナガ氏個人の怨恨は感じられない
・事実を写真と共に伝えた
・結果、KEN21の知名度が上昇している

この4点の事実があります。
多くの人が楽しく読んだ事…これは、公益と考えられませんでしょうか。

更に、ヨシナガ氏の文面からは悪い印象を受けず、逆にKEN21に対して愛情さえ感じる文章に仕上がっています。
非公式ファンクラブ設立の計画も持ち上がっていたとの事で、とてもこき下ろそうとしていたとは考えられません。
受け手の問題もあるかと思われますが、大多数の者はこれを読んだとしても、KEN21に対しての印象を悪くはしないのではないでしょうか。


そして、KEN21側に対しての営業妨害という事ですが…
ヨシナガ氏の所にも“東京に行ったら絶対立ち寄ります”といったメールが数多く届いている事を考えると、業務上に著しい支障を来している事も考え辛いです。
先に申し上げましたように、ヨシナガ氏の文面からは、KEN21に対する愛情が感じられます。
僕秩。が大手サイトという事を考えましても、これは“宣伝行為”と取れても“営業妨害”と認定されるかは、果たして微妙なところでしょう。


これを営業妨害・名誉毀損というのであれば…
私達には、ユーモアは許されないという事なのでしょうか。
落語家が許されて、コメディアンが許されないのでしょうか。
アンネの日記が許されて、ベニスの商人が許されないのでしょうか。




次回は、思想的側面からこの件を取り上げたいと思います。


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