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唸り声

高校時代、修学旅行で北海道に行った時の話です。
その時のコースは、札幌・小樽・函館の順で廻るコースでした。
北海道の美味しい物をいっぱい食べて、綺麗な景色も見られて…
とても楽しい修学旅行でした。
あの事以外は…。


最終日、函館の町外れにある【立待岬】という岬に行くコースが組まれていました。
午前中に函館の【朝市ラーメン】をお腹いっぱい食べたお陰で、すっかり上機嫌。
腹も満たされた所で襲われた睡眠欲には勝てず、バスガイドさんの説明がゆっくりと頭の中でフェードアウトしていき…つい、移動中のバスの中でうつらうつら。


“岬”と言われる位ですから、当然切り立った崖のてっぺんに、“そこ”はあります。
そこまでの勾配も、結構あったように記憶しております。
岬に向かうバスが、手前の坂道を登り始めた途端…猛烈な悪寒がして、うたた寝気分が一気に覚めました。



…何??



私の漠然とした不安感と恐怖感を無視して、バスはどんどん登っていきます。
それにシンクロして、私の具合もどんどん悪くなっていきます。
それと同じ様にシンクロして、遠くの方から…




うぉぉぉぉ〜…ん…うぉぉぉぉ〜…ん





という、唸り声が聞こえてきたのです。
それと同時に押し寄せる、更なる不安感。

これは…今から行く所って、相当マズイ場所なんじゃないのか??


でも、修学旅行。団体行動です。
“頼むから行かないでくれ”なんて言った所で、予定が変更になるなんてそんな甘い事はありません。
しかし、登るにつれてその声はどんどん大きくなっていきます。

間違いなく何かあるな、ここには…。


バスはとうとう頂上、即ち立待岬に到着しました。
そして、そこでは…耳を塞ぎたくなる位の無数の人間の唸り声がハウリングしていたのです。





うぉぉぉぉ〜… うぉぉぉぉぉ〜…






無数の地の底からの咆哮。
何を叫んでいるのかは全く分かりません。
何せ、様々な声が入り混じって、1つ1つを聞き取る事なんて不可能に近かったのですから。
土地自体が呪われている様な印象を受けました。


天気は快晴で、北海道の涼しい風がいっぱいに感じ取れるはずでしたが…
私は、気付くと冷たい汗でびっしょりでした。


滞在時間中ずっと唸り声に悩まされ、来た道をバスで戻ると同時に不快感も消え去りました。


私は、バスでうたた寝をしてた為に全く聞いていなかったのですが…その時のバスガイドさんに寄ると、やはりあの場所は自殺の名所だった…との事。
後々、友達から“登る前にそんな話してたじゃんよ。”と言われてしまいましたが…。
(いや、寝てる間の事言われましても…。ねぇ。)

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