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十二単

前回のお話で書きました、古戦場跡での出来事です。
その日は彼のご両親は旅行に行っていたので、泊まりで遊びに行きました。


夕ご飯の支度…という事で、2人でちょっと離れたスーパーへ買い出しに行きます。

よっしゃ♪美味いモン作っちゃる♪


なんて言いながら、重い荷物を2人で抱えて帰って行く、その道すがらの出来事でした。


その近辺は、いわゆる“高級住宅街”と言われる部類に入る為、綺麗で高級な住宅が並ぶ地域です。
街の中も綺麗に整備されてて…。遊歩道のような道でした。
そして、私はふと、“ある気配”に気付いたのです。


不意に視線を感じました。それも強烈な。

…ん??

と思った私は…その瞬間には無意識に視線のする方向、即ち“見てはいけない方向”を、ふと見てしまいました…。


夕暮れに染まる遊歩道。
私達の歩いていた道の1段高い所に、交差するように同じ様な道があります。
丁度私達の歩いてる道の上で交わってる…要は、立体交差のようになっていたのですが…その、1段高い道…。


整然と並ぶ街路樹。
その木々の間に、十二単を着た女性が立っていたのです。
それも1人や2人ではありません。
木々の間に、交互に1人づつ、無表情のままずらりと立っていたのです。
彼女達の視線が、一斉にこっちを向いていたのでした…。
まるで、合わせ鏡の中の様な光景。吐き気を覚えました。


ヤバイ…変なモン見ちゃった…。

と彼に一言。
2人で足早に通り過ぎました。
なるべく気付かなかった振りをして。
なるべく“気付かれないようにして”…。


戦場…というと、男性の物のような気がしていました。
しかし、女性の方も多く犠牲になってしまったのだと思います。
その昔、あの場所ではどんな凄惨な事件が起きたのでしょう…。
彼女達は、どんな形で犠牲となってしまったのでしょうか。

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