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くすぐる手

社会人になって間もない頃のお盆休みに起きた出来事です。
時間はAM8:00位です。たまの休日である事もあり、ゆっくりと眠っておりました。


突然、夢見心地の気分が打ち消されました。
例の、“あの”違和感で目が覚めたのです。
その直後に襲ってくる、強烈な金縛り。

あぁ…また来ちゃった…。

なんて思いながら、必死に抵抗していました。
身体中の筋肉に緊張が走り、筋ははち切れそうな程に硬直。
そして、それに抵抗が出来ない私…。


突然、顎の辺りを何かが触れる感触が襲いました。
最初こそ、

布団かな…??

って思ったけれど、それにしては肌触りがぬめっとしています。


それが“小さな指先”である事を悟るのに、そう時間は掛かりませんでした。
まだ幼い子供の物と思われる小さな手が、私の顎を撫で回しているのです。
あいにく、目は開けられなかったので確認出来ませんでしたが…。


最初はただ、撫で回しているだけでしたが…
次第に、“こちょこちょっ”と、くすぐる手つきになってきました。


皆さん…想像して下さい。
筋肉がビキビキに引きつった、筋張った喉をくすぐられる事を。
その時の私の魂の叫び。↓








だっ、なっ、だあぁっ!!やめ、やめっ、やめれぇぇぇー!!!







もう、吐きそうな位の不快感。
例えくすぐっていたのが生身の人間であったとしても、私だったら張り倒します。
ぬめぬめとした小さな指先は、ひたすら私の顎をくすぐっていました。


もしかしたらまた幽体離脱しちゃうかも… と思いながらも、必死で身体を動かそうと抵抗するのですが…いつものように、動いたような気がするだけ。
手はずっと顎をくすぐってますから…きっと動いていなかったんでしょうね。


10分位はその状態が続きました。
ふっと、身体に入っていた力が抜けて私は自由を取り戻しました。
慌てて飛び起きて、辺りを見回しても…いつもと同じ部屋の中の景色です。
外では、うるさい位に蝉が鳴いていました…。


お盆休み。
魂が霊界からこちらへ戻る時期。
通りすがりの子供が、ついでにちょっと悪戯でもしていったんでしょうね…。

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