それが、人を大事に思うプラスの気持ちならいいのですけれど…人を慈しむ念と憎む念では、どうしても憎む念のほうが強いんですよね…。
以前勤めていた、教育関係の会社での出来事です。
この職場では、私以外の殆どがいわゆる“営業マン”の方達で、彼らのモチベーションを高くするのも私の役割…という所がありました。
その中には、彼らの体調や精神状態を“観る”事も含まれていた…と言っても過言ではありませんね。
彼らの今日の注意点、何か要らんモノが憑いていたら祓って、気持ちよく営業に出られるように尽力しておりました。
その為、毎日
今日、俺どぉ??成績上がりそうかな??
なんて訊かれるのが日課。それも仕事の1つになりつつありました。
この会社に勤めていた時に、拠点の営業マンとして勤務していたのが、噂の【人間の屑･M氏】です。
ある日の朝、M氏にいつものように訊かれたのですが…何やら後ろからただならぬ気配を感じました。
まるで、強烈な悪霊に出遭ってしまった時の様な、強烈な寒気、悪寒。
その原因は、すぐに判明しました。
背後に立っていた、小柄な女性の生霊の仕業でした。
うつむき加減でしたので、表情まではっきりとは分からなかったけど…
そこから発せられる気は、正しく“負のエネルギー”。
当然、憑けたままでいいものではありません。
後ろにこれこれこんな感じの人が立ってるんですけど…何か知ってます??
ちょっとマズそうですよ、彼女…。
と、訊いた途端、彼は血相を変えて
じ・じゃあ行ってきまーす!!
と、止めるのも聞かずに営業に飛び出していってしまいました。
他の営業さんも出払い、拠点には私と所長の2人だけ。
さり気なく様子を伺おうかと思い、所長にこっそりと尋ねてみました。
Mさん…何であんな焦ってるんですか??
その人ね〜…多分、山猫さんがここに配属になる前に勤めてた女の人。
前にあいつが酷い振り方した女なんだよ…。
そう言いながら、所長は昔の社内報をデスクの中から取り出して、私に見せてくれました。
そして、案の定…
先程見てしまった女性と同じ姿形の人が、そこには映っていたのです。
それからというもの、彼女の姿はしばしば目に入ってくるようになりました。
なるべく意識しないように、見ないように…と心掛けてはいるのですが、やはりふとした瞬間に目に入ってくる。
それは、今でも変わりません。
M氏が、彼女にどんな仕打ちをしたのか、私は訊く気にはなれません。
人を呪わば穴二つ。
彼女“本人”が、今無事でいる事を祈ります…。
ったくこの阿呆タレは…。知らんぞ私ぁ。もう。